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- 1英語の元祖「イギリス英語」の特徴とは?
- 2イギリス英語の特徴①:硬めのイントネーション
- 2.1イギリス英語の主流となるイントネーションやアクセントとは?
- 3イギリス英語の特徴②:Rの発音を強調しない
- 3.1イギリス英語は日本人には発音しやすいのが特徴
- 4イギリス英語の特徴③:アメリカ英語との発音の違い
- 5イギリス英語の特徴④:アメリカ英語との単語の違い
- 6イギリス英語の特徴⑤:文法解釈が教科書的
- 6.1イギリス英語は完了形を文法通りに使うのが主流
- 6.2イギリス英語では付加疑問文をつけるのが主流
- 7イギリス英語の特徴⑥:独特な時間解釈と表現
- 8イギリス英語の特徴⑦:スペルが長め
- 9 体験!イギリス英語の特徴とコツをオンラインでつかもう
- 10イギリス英語とアメリカ英語がこんなに違っている理由とは?
- 10.1アメリカ英語の発音はアイルランド、スコットランド移民の発音が主流?
- 10.2アメリカ英語のスペルの違いはR音の強調が理由?
- 11イギリス英語を楽しもう!
英語の元祖「イギリス英語」の特徴とは?
ご存知のように、英語はイギリスが発祥地で、移民、植民地などの歴史によって世界各地に広がっていった言語です。今ではそれぞれの土地で新しいイントネーションや新語などが生まれており、イギリス国内で話されている英語はあえてイギリス英語というジャンルで括られています。アメリカ英語教育が主流の日本人の耳や目にはイギリス英語は少し馴染みのない英語かもしれません。そんなイギリス英語の特徴を、発音、イントネーション、文法、単語などに分けて、アメリカ英語との違いにも触れながらご紹介していきます。この記事を読んで、イギリス英語のコツをつかんでみてください!
イギリス英語の特徴①:硬めのイントネーション
イギリス英語の代表格といえば、エリザベス女王や王室の方々の話す英語です。「クィーンズイングリッシュ」とも呼ばれていますが、日本人の耳には少し硬いイントネーションに聞こえます。アメリカ英語が主流の日本人には、イギリス英語は単語と単語の間が割合はっきりと切れて聞こえるのが特徴的です。アメリカ英語は単語の終わりの部分を小さく発音する、または発音しないことが多く、wanna、gonnaのように「動詞+to」をつなげて流れるようなイントネーションで話すのが主流です。それに比べイギリス英語では、単語の終わりの部分もはっきりと発音するため、一語一語が分かりやすく発音されるイントネーションになります。そのため少し硬い印象に聞こえることがあります。
イギリス英語の主流となるイントネーションやアクセントとは?
日本語に各地のアクセントがあるように、イギリス英語にも様々な地方アクセントやイントネーションが存在します。それでは、日本のように首都のアクセントが主流の英語となるのかというと、そうではありません。ロンドン中心部のアクセントは「コックニーアクセント」と呼ばれ、数あるイギリスアクセントのうちの一つにすぎません。基本的にはイギリスの公共放送BBCのニュースで話される「BBCアクセント」が、イギリス英語の主流とされています。
イギリス英語の特徴②:Rの発音を強調しない
イギリス英語は日本人には発音しやすいのが特徴
日本人が英語の発音で苦労するのはRとLの違いですよね。特にアメリカ英語の巻き舌R発音に苦労している人は多いのではないでしょうか。イギリス英語のR音はアメリカ英語のLのような発音で、強く発音することはありません。コツとしては、日本人の「らりるれろ」の発音を少しだけ巻き舌にするとイギリス英語のR発音が完成します。Lの発音は日本語の「らりるれろ」発音に近いので、日本人ならあまり意識しないでL発音をするのがコツです。
またアメリカ英語で単語の終わりの「t」「g」をほとんど発音しないのに比べ、イギリス英語はしっかり発音します。下の例文を見てください。
I am going.
英発音:アイムゴーイング
米発音:アイムゴーイン
「R発音は強調しすぎない」「L発音はら行の発音のように」「単語の最後の音は残す」がイギリス英語のアクセントやイントネーションを真似るコツといえるでしょう。
イギリス英語の特徴③:アメリカ英語との発音の違い
イギリス英語とアメリカ英語で、決定的に発音が違う言葉がいくつかあります。例えば下の例を見てください。
can’t
「できる」を表す単語「can」は、肯定の時はイギリス英語でも「キャン」と発音するのに、なぜか否定の時の「can't」は「カーント」のような発音になります。カタカナで例文の発音を見てみましょう。
I can't join your party tomorrow.
発音:アイ カーント ジョイン ユア パーティ トゥモロゥ
明日のあなたのパーティに参加できません。
以下によく知られている単語の発音の違いの一部をお見せします。特に規則性はないので、イギリス英語の達人を目指すなら、沢山使って慣れてしまうのがコツです。
イギリス英語発音 | アメリカ英語発音 | |
neither | ナイザー | ニィザー |
schedule | シェジュール | スケジュール |
tomato | トマート | トメイト |
vase | ヴァース | ヴェイス |
vitamin | ヴィタミン | ヴァイタミン |
イギリス英語の特徴④:アメリカ英語との単語の違い
発音以外に、イギリス英語とアメリカ英語で違うのは単語の選び方です。違いの例で代表的なのは「携帯電話」。アメリカでは「cell phone」ですが、イギリスでは「mobile phone」になります。以下にイギリス英語、アメリカ英語で異なる代表的な単語の一覧表をお見せします。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
aubergine | egg plant | なす |
candy floss | cotton candy | 綿あめ |
chips | french fries | フライドポテト |
crisps | potato chips | ポテトチップス |
jaket potato | baked potato | ベイクドポテト |
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
bill | check | 伝票、会計 |
car park | parking lot | 駐車場 |
caretaker | janitor | 管理人、用務員 |
CV(curriculum vitae) | resume | 履歴書 |
ground floor | first floor | 1階 |
first floor | second floor | 2階 |
holiday | vacation | 休暇 |
mobile phone | cell phone | 携帯電話 |
rubbish | garbage | ごみ |
taxi | cab | タクシー |
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
jumper | sweater | セーター |
nappy | diaper | おむつ |
trousers | pants | ズボン |
trainers | sneakers | スニーカー |
shoelace | shoestring | 靴ひも |
イギリス英語の特徴⑤:文法解釈が教科書的
イギリス英語は完了形を文法通りに使うのが主流
「完了形は行動の始めから終わりまでを表す」という英文法のルールを覚えていますか?イギリス英語ではその用法を厳格に守っているため、会話の中で現在完了形や過去完了形を使ったセンテンスが多く聞かれます。一方アメリカ英語では、現在完了形で表せることを過去形で表してしまうことが多いため、イギリス英語ほど現在完了形のセンテンスを使いません。例を見てみましょう。
英:I have lost my wallet.
米:I lost my wallet, and I haven’t found it yet.
私は財布を無くしました(そして今も見つかっていません)
アメリカ英語では、過去形を現在完了形と同様に使うことが多いため「I haven’t found it yet」のようなセンテンスをつけないと、「今」の状態が説明できないことがあります。
完了形を使いこなすのがイギリス英語を話すコツの一つです。
イギリス英語では付加疑問文をつけるのが主流
付加疑問文とは、話し手が相手に「ですよね?」のように同意を求めたり、確認したい時に使う文です。イギリス英語ではこの付加疑問文が多く使われます。例を見てみましょう。
You promised me to stop playing the video game by 8 o’clock, didn’t you?
8時までにはテレビゲームを終わらせるって言ったよね?
You will attend the meeting next Monday, won’t you?
来週月曜日のミーティングに出るよね?
イギリス人の付加疑問文好きを示すように、インタビュー、ドラマ、映画など、イギリス英語では疑問形と同じくらいこの付加疑問文が多用されています。イギリス英語らしく話すコツは、付加疑問文をところどころに使うことです。
イギリス英語の特徴⑥:独特な時間解釈と表現
アメリカ英語でも日本語でも、時間を表現するときは「10時15分」「ten fifteen」のように「時」「分」の順に表現します。しかし、イギリス英語では、「分」から表現して「時」は後についてきます。また時間を30分区切りに考えていて「〇時半」までは「〇時☓分<過ぎ>」、それ以降は「〇時<まで>☓分」のように表現します。例を見てみましょう。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 日本語 |
six (minutes) past one | one six | 1時6分 |
fifteen (minutes) past two または quarter past two |
two fifteen | 2時15分 |
half (minutes) past three | three thirty | 3時半 |
twenty (minutes) to four | three forty または twenty till four |
3時40分 |
fifteen (minutes) to four または quarter to four |
three forty-five または quarter (fifteen) till four |
3時45分 |
ten past oneは「1時を10分<過ぎている>」の解釈で表現しています。またtwenty to fourは「4時<まで>20分」の解釈です。アメリカ英語もイギリス英語と同様に表現することもあるようですが、その場合「to」ではなく「till」を使います。注意していただきたいのは、15分、30分の表現です。イギリス英語では1/4や1/2の表現を好んで使います。15分は60分の1/4なので「quarter」、30分は60分の1/2なので「 half」になります。
時間表現に慣れるコツは、イギリス人の時間のとらえ方を理解しておくことです。
イギリス英語の特徴⑦:スペルが長め
イギリス英語は、アメリカ英語とスペルが微妙に違うというのもよく知られている特徴の一つです。PCでの英語のタイピングで英語辞書設定をするとき、イギリス英語とアメリカ英語は分かれています。そうしなければならないほど、イギリス英語とアメリカ英語にはスペルの違いが随所に見られます。以下によく知られているスペルの違う単語の一覧と、その大まかなルールを見てみましょう。
ルール | イギリス英語 | アメリカ英語 |
単語の終わりのer(米)が re(英)になる | centre theatre kilometre litre |
center theater kilometer liter |
単語中のor(米)がour(英)になる | colour humour favourite tumour |
color humor favorite tumor |
単語中のz(米)が s(英)になる | analyse colonise realise |
analyze colonize realize |
gやqの後に ue(英)がつく | catalogue dialogue |
catalog dialog |
基本的にアメリカ英語は「簡潔、簡単」になる特徴があり、それがイギリス英語より単語スペルが短くなる理由です。
体験!イギリス英語の特徴とコツをオンラインでつかもう
イギリスの言葉や文化を世界に紹介するイギリスの公的機関であるブリティッシュカウンシルが、その公式サイトで英語学習の一環として、様々なイギリス生活シーンのビデオを紹介しています。このビデオをみると、この記事でご紹介したイギリス英語の発音、アメリカ英語との単語の違い、表現などのコツを学ぶことが出来ます。ビデオで使われているイントネーションはBBCアクセントが主流です。中には「イギリス人同志がアメリカ英語との違いを語る」というビデオもあります。イギリス英語表現のコツやイントネーションを練習したいという方にはおすすめです。
イギリス英語とアメリカ英語がこんなに違っている理由とは?
イギリス英語とアメリカ英語はなぜこんなにも違いがあるのでしょうか?いくつか説があるのでみていきましょう。
アメリカ英語の発音はアイルランド、スコットランド移民の発音が主流?
アメリカ英語がイギリス英語よりR音を強調するのは、その昔アメリカに渡った移民たちの話していた英語の影響という説があります。確かにイギリス英語の亜流の一つであるアイルランドやスコットランドのアクセントは、イギリス英語に比べて強く巻き舌にするR音が特徴的です。アメリカにアイルランドやスコットランド系移民の末裔が多いことを考えれば、アメリカ英語がアイルランド、スコットランドアクセントに似ているという理由もうなずけます。
アメリカ英語のスペルの違いはR音の強調が理由?
単語のスペルの違いの理由については、アメリカではじめて編纂されたウェブスター辞書に掲載されたスペルがイギリス英語と違っていたからだといわれています。移民の歴史が始まって200年あまりたった時には、アメリカ英語はすでにイギリス英語から離れる傾向を見せていました。今回ご紹介したcentreとcenterのようなスペルの違いはすでにあったということです。これは上述したアメリカ英語のR音を強調した発音が、そのまま書き言葉になったからともいわれています。アメリカで1828年に編纂されたノア・ウェブスターの辞書は、この違いを本当の意味での「イギリスからの独立」としてあえて載せたと考えられています。
イギリス英語を楽しもう!
いかがでしょうか?言葉というのは生き物です。使っている人々の需要や必要性に応じて日々変わっていくものです。その顕著な例がイギリス英語とアメリカ英語の違いでしょう。アメリカ英語に慣れていると、最初はイギリス英語のイントネーションや発音に戸惑うかもしれません。しかしコツをつかめば、日本人には馴染みやすい英語だと思います。
知人、友人にアメリカ人が多ければアメリカ英語を、イギリス人が多ければイギリス英語をというように、周りの環境に合わせて英語を使い分けてみてください。アメリカ英語に押され気味のイギリス英語を、イギリス人の方たちは少し残念に思っているので、イギリス英語風のイントネーションや言い回しを使って話してみるときっと喜んでくれますよ!