
岡田さん

ミランダ
TOEICのリスニングの英語は、ネイティブの実際の発音と違って「音の変化」が少ないから、確かに聞き取りやすいかもしれないわね。

岡田さん
「音の変化」ってなんですか?

ミランダ
ネイティブが英語を発音するとき、音が連結したり消失したり様々なルールに沿って音が変化しているのよ。それを音の変化と言うの。この音の変化を攻略できればネイティブの英語も随分聞き取れるようになるわよ!

岡田さん
そうなんですか!!音の変化について教えてください!

ミランダ
わかったわ。それじゃあ今回は、音の変化の中でも特に日本人が苦手な「弱形」について解説していくわよ。
ネイティブの英語の発音が聞き取れない原因は「弱形」にあった!?
ネイティブと英語で会話していて、何と言ったのか聞き取れないことは多々ありますよね。そんなとき、「全く聞き取れないということは難しい単語だったのかな」と思いきや、ゆっくり発音してもらうと、意外と全て簡単な単語だったりしませんか?
よく知っている簡単な単語であるにも関わらず、なぜ聞き取れないことがあるのでしょうか?これには、英語の「音の変化」が大きく関係しています。この記事では、音の変化の中でも日本人に苦手な方が多い「弱形」について、詳しく解説していきます。
英語の「弱形」とは一体何のこと?
英語の「弱形」と聞いて何のことかピンとこない方もいらっしゃるかと思います。まずは弱形とは何なのかについてご説明しておきます。
英語の弱形とは?
英語には、会話や文章の中で伝えたい内容を直に表現する「内容語」と、内容語の意味を補うための機能的な役割をする「機能語」があります。内容語と機能語はそれぞれ以下になります。
内容語
・動詞
・形容詞
・副詞
・名詞
機能語
・代名詞
・前置詞
・助動詞
・冠詞
・関係詞
・接続詞
機能語は、特別強調したい時以外にはさらっと流れるように発音される傾向にあります。この「はっきりと読まれない」「時には発音さえされない」機能語の発音を「弱形」と言います。例えば以下の文章を発音してみてください。
英文: I can do that.
和訳: 私はそれができます。
日本人の方は、この文を「アイ キャン ドゥー ザット」と1つ1つはっきりと発音して読みがちです。しかしネイティブは、「アイ クン ドゥ ダッ」のように、機能語である「can」と「that」を弱く発音するか、もしくはほとんど発音しません。これが弱形です。
英語の強形とは?
弱形があるということは、もちろん強形もあります。強形とは、私たちが普段習っている発音だと思っていただければ大丈夫です。例えば、「to」は文中では「トゥ」「タ」と弱形で発音されることが多いですが、本来の読み方は「トゥー」ですよね。これが強形です。実は辞書にも、強形と弱形の発音記号が別々で記載されているのですが、学校ではこの強形の発音しか教えてくれないため、機能語に2つの発音があることを知っている方は多くありません。
機能語が強形で発音されるタイミング
先程、機能語は基本的に弱形で発音されるとお伝えしましたが、ではどんなときに強形で発音されるのでしょうか?機能語が強形で発音されるのは、以下の2パターンです。
・強調したい時
・文末にくる時
例えば、「I like her.」という英文は、通常であれば機能語の「her」は弱形で「アー」のように発音されます。しかし、もし「her」を強調したい場合には、強系の「ハー」で発音されます。
英語の弱形は「弱く読む」という意味ではない
弱形と強形が何なのかについてお分かり頂けたかと思いますが、ここで日本人が勘違いしやすいポイントについてご説明しておきます。
弱形だからと言って読み方の強弱を変えるのは間違い
弱形と聞くと、とりあえず弱く発音すればいいのかと思う方がいますが、そういうわけではありません。弱形は読み方の強弱の問題ではありません。弱形と強形は、全く別の発音であるということを覚えておいてください。
弱形の発音を知っておくことが大切
弱形をマスターするには、それぞれの機能語の弱形の発音を知っておくことが大切です。下の例をみてください。
英文:I asked her.
和訳:私は彼女に尋ねました。
機能語「her」は「ハー」とは発音しません。弱形で「アー」のように発音されます。更に「asked」と繋がって、こちらの文は「アイ アスクター」のように発音されます。
それぞれの機能語がどのように発音されるのか、弱形の発音を意識しながら大量の英文をスクリプト(または字幕)付きで聞いてみましょう。段々と耳が慣れ、「これはこう発音される」「この単語に関してはほとんど発音さえされない」と分かってきます。
弱形を知った上でリスニングすると、スクリプトや字幕なしの英文の聞き取りやネイティブとの会話も随分理解できるようになります。
弱系意外にも英語特有の発音がある?
ここまで弱形についてご紹介してきましたが、弱形意外にも英語特有の「音の変化」が存在します。ネイティブが英語を発音するとき、英語の音は基本のルールに沿って連結したり消失したり、様々に変化します。これを音の変化と言います。この音の変化に対応できるかどうかが、ネイティブの英語を聞き取れるかどうかを大きく左右します。ここでは、音の変化のルールを一覧でまとめると共に、例文を使ってどのように音が変化するのかをご紹介していきます。
音の変化 | ルール |
連結 | 子音+母音→連結 |
消失 | p,b,k,g,t+子音→p,b,k,g,t消失 |
弱形 | 機能語の発音が変化 |
フラップのt | 母音+t+母音→tがダorラ行の音に変化 |
例文をみてみましょう。
英文: Stand up.
和訳: 立ちなさい。
◯説明
「stand」と「up」が連結して「スタンダッ(プ)」のような発音になります。
英文: Good morning.
和訳: おはようございます。
◯説明
「good」の「d」、「morning」の「g」が消失し、「グッ モーニン」のような発音になります。
英文:Can I have some water?
和訳:お水もらえますか?
◯説明
「can」と「I」が連結し、更に「water」の「t」がフラップの「t」なので、「キャナイ ハヴ サム ウォラ?」のような発音になります。
TOEICなどのリスニングの音源では、このような音の変化が少ないため聞き取りやすい傾向にありますが、実際のネイティブの会話は音の変化が満載です。英語の音の変化を知って習得することが、ネイティブの英語を聞き取れるようになるための近道です。
まとめ
今回は英語の弱形について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?ネイティブの英語を聞き取るには、このような音の変化に対応できることが不可欠です。最初は中々難しいかもしれませんが、まずはスクリプトなど英文を見ながらたくさん英語を聞くことから始めてみましょう。弱形という音の変化があるということを知っているだけでも、リスニングのしやすさが違ってきますよ。
TOEICのリスニングの英語は随分聞き取れるようになったのですが、ネイティブの人達が実際に話している英語を聞くとまだまだ聞き取れないことが多いです。