
岡田さん

ミランダ
「リスニングできない」と一口に言っても、その原因は人それぞれ異なるのよ。まずは自分が何に躓いているのかを知ることが大切ね。

岡田さん
なるほど。リスニングできない原因にはどのようなものがあるんですか?

ミランダ
良い機会だから、今日はリスニングの課題別におすすめの強化トレーニング方法を教えてあげるわ!
リスニングできないと悩む英語学習者の方へ
英語には、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4つの技能がありますが、リスニングのスキルはこの4技能の中で最も重要なスキルと言っても過言ではありません。
ビジネス英会話においても英語の資格試験においても、英語を使う場面であればどんなときでもリスニングを避けて通ることはできませんよね。
そんなリスニング力を強化すべく英語学習者の方は日々トレーニングしていることと思いますが、「いつまで経ってもリスニングできない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、リスニングのおすすめの勉強法をご紹介していきます。「リスニングできない」と悩んでいる方は、是非ご覧ください!
リスニングできない3つの理由とは?
英語のリスニングができない理由をご紹介する前に、まずリスニングがどのようなプロセスで行われているのかご説明しておきます。
リスニングと一口に言っても、実はリスニングは2つのステップにわかれています。
英会話におけるリスニングの2ステップ
こちらは、英会話におけるリスニングのプロセスを、応用言語学理論に基づいて分解した図になります。
この図の通り、リスニングは「音声知覚」と「意味理解」という2つのステップにわかれており、それぞれのステップが滞りなく行われることで初めて、スムーズに英語を聞き取ることができます。
それぞれのステップでは、以下のような処理が行われています。
音声知覚:耳でキャッチした英語の音声信号を、何という単語か知覚する
意味理解:音声知覚した単語が、文章としてどういう意味なのか理解する
音声知覚でも意味理解でも、英語に関する知識が蓄積された「知識データベース」と呼ばれる倉庫への問い合わせを行うことで、英語の音や意味の情報を引っ張ってきています。
少し分かりづらいと思うので、「an apple」をリスニングするまでのプロセスを例にとって詳しくみていきましょう。
「an apple」をリスニングするプロセス
「an apple」は以下のプロセスを経て聞き取ることができます。
①耳でキャッチした「アナッポゥ」という音が何なのか、知識データベースに問い合わせる
②「アナッポゥ」が「an apple」であるという音データを、知識データベースから引っ張ってくる(音声知覚完了)
④音声知覚した「an apple」という音がどういう意味なのか、もう一度知識データベースに問い合わせる
⑤知識データベースにある単語の意味データや文法データを引っ張ってきて、文章の意味を理解する(意味理解完了)
このように、音声知覚と意味理解両方のフェーズにおいて知識データベースとのやり取りがスムーズに行われることで、英語を聞き取ることができます。
リスニングできない3つの理由
先程ご紹介したリスニングの2ステップに準ずると、リスニングできない理由は以下の3つに分類されます。
①音声知覚における知識データベースとのやり取りがスムーズでない
②意味理解における知識データベースとのやり取りがスムーズでない
③知識データベースのデータ量が少ない
何が原因でリスニングできていないのかは人それぞれです。聞こえてきた音が何の単語か分からない人は①に当てはまりますし、聞こえてきた音がどういう単語かは分かるけどその意味が分からないという方は②に当てはまります。そもそも英単語や英文法などの英語知識が少なすぎるという方は③でしょう。
このように、自分がどのフェーズで躓いているのかによって、強化すべきポイントは大きく異なってきます。
それではここからは、それぞれの原因ごとにどんなトレーニングを行えば良いのかみていきましょう。
英語リスニングのおすすめ勉強法①音声知覚の強化
音声知覚において知識データベースとのやり取りがスムーズでないという方は、シャドーイングが効果的です。
シャドーイングはリスニング力アップのトレーニングとしてとても有名ですが、これは細かく言うと「リスニングの音声知覚を鍛える」トレーニングになります。
シャドーイングは、スクリプトを見ることなく流れてくる英語の音声を2、3語遅れてそっくりそのまま影のように復唱していくトレーニングですが、この2、3語遅れてすぐに発声するトレーニングを繰り返すことで、聞こえてきた音の情報を瞬時にデータベースから引っ張ってくる力を鍛えることができます。
シャドーイングのトレーニング方法を具体的にみてみましょう。
シャドーイングのトレーニング方法
①音声を聞き全体的な意味を把握する
まずは音声を数回聞き、スクリプトを見ながら内容的に分からない部分がないかを確認します。分からない単語や文法は調べて、全体的な意味がクリアな状態にしておきましょう。
②音の変化をチェックする
内容をクリアにしたら、次は音声を数回聞きながら音の変化をチェックしましょう。
音の変化とは、ネイティブスピーカーが自然な速度で話すときに起こる発声音の変化のことを言いい、具体的には、単語同士が繋がったり(リンキング)、文末の「p,b,k,g,t,d,」の音が消えたり(リダクション)する変化のことを指します。
音の変化チェックは、後から見ても分かりやすいようにスクリプトにメモを残しておくのがコツです。
③オーバーラッピングする
音の変化をチェックしたら、次はオーバーラッピングをしましょう。
オーバーラッピングとは、スクリプトを見ながら音声と全く同じタイミングで発声していくトレーニングのことです。オーバーラッピングすることで、英語の抑揚や強弱などのイントネーションに慣れることができます。
④シャドーイングする
シャドーイングでは、スクリプトを見ずに英語の音声を2、3語遅れて復唱していきます。内容は意識せず、音の変化やイントネーションなど、音声をそっくりそのまま真似するのがコツです。
トレーニング時間の目安は60分程度で、その間徹底的に反復練習することがシャドーイング上達に繋がります。
使用教材
シャドーイングのトレーニングは、最適なレベルの教材で行うというのも大切なポイントです。目安として、音声を聞いて50~60%くらい内容を理解できる教材を使用するのがおすすめです。
シャドーイングについてもっと詳しく知りたいという方は、是非こちらの記事をご覧ください。
英語リスニングのおすすめ勉強法②意味理解の強化
意味理解において知識データベースとのやり取りがスムーズでないという方には、多読が効果的です。
多読とは、文字通り「英語をたくさん読む」トレーニングですが、なぜたくさん「読む」ことでリスニングの意味理解を鍛えることができるのでしょうか?
なぜ多読でリスニングの意味理解を鍛えることができるのか?
「That boy who is playing the guitar is my son.」という文を読んでみて下さい。
多くの方は、「who is playing the guitar」という関係代名詞節から先に読み、「ギターを弾いているその男の子は、私の息子です。」と返り読みしたのではないでしょうか?
残念ながらこの読み方では、いくら読んでもリスニングの意味理解を鍛えることはできません。
多読は、ただたくさん英語を読むだけではなく、以下の2つのルールを守って読み進めていきます。
①返り読みをしない
②分からない単語を調べない
リスニングでは英語は前からしか流れてこないため、返り読みすることはできません。また、分からない単語があってもいちいち調べている暇もありません。つまり、この2つのルールを守りながら読み進めることで、リスニングの意味理解と同じ状況を作り出すことができ、リスニング時に英語を英語の語順のままで瞬時に理解する力を鍛えることができるのです。
ちなみに、英語を英語の語順のままで理解できるようになるためには、英語を100万語読む必要があると言われています。ご紹介した2つのルールを守りながら、100万語を目指して多読の学習を続けていきましょう。
使用教材
多読の教材は、あまり難しいものを選ばないのがコツです。
難しい本を多読の教材として使用してしまうと、「①返り読みをしない」「②分からない単語を調べない」という2つのルールを守りながら読むことができなくなってしまいます。
この2つのルールを守りながら読むことができるレベルの教材を選びましょう。
英語リスニングのおすすめ勉強法③データベースの強化
最後に知識データベース不足の方ですが、こちらの方は当然ながら英単語や英文法の知識をインプットする必要があります。
ここでは、インプット学習の際のコツを1つご紹介しておきます。
インプット学習のコツ:英単語をスペル読みで覚えない
英単語を学習する際、スペルを覚えることを優先してアルファべットそのままの音で単語を覚える方がいますが、この覚え方では英語の正しい発音を覚えることはできません。
例えば「plane」を「プラネ」と覚えたり「train」を「トライン」と覚えた経験がある方はいらっしゃるのではないでしょうか?
この覚え方では、正しい英語の音データを知識データベースに蓄積することができず、「プレイン」という音声が耳に入ってきた際「plane」だと音声知覚することができません。
英単語を学習する際には、発音も一緒に覚えることで正しい音データを知識データベースに蓄積するのが、インプットのコツでありとても重要なことです。
最近の英単語帳は音声付きの教材がほとんどなので、そういった音声を使用しながら学習するのもおすすめです。
英語リスニングの勉強法まとめ
この記事では、「リスニングできない」と悩んでいる方のために、おすすめのリスニング勉強法についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
リスニングは、どこで躓いているのかによって、取るべき対策が大きく変わってきます。
まずは自分の弱点が何なのかをしっかりと理解した上で、適切なリスニング強化トレーニングを行っていきましょう。
おすすめのリスニング勉強法
- ①音声知覚の強化:シャドーイング
- ②意味理解の強化:多読
- ③データベースの強化:適切なインプット
英語のリスニング力がなかなか伸びないのですが、何か上達のコツはあるんでしょうか?