
岡田さん

ミランダ
あら、岡田さんの会社にも英語化の波がやってきたのね。

岡田さん
そう、「まさかうちの会社が!?」という気持ちです。社内での公用語をわざわざ英語にする必要ってあるんでしょうか?

ミランダ
そうねぇ。楽天が社内公用語を英語にして9年が経つんだけど、そこから見えてくる英語化の良いところと問題点を見てみましょうか。
楽天はなぜ英語を社内公用語にしたのか?
2010年、楽天株式会社(以下、楽天)の三木谷社長によって、「社内公用語を英語にする」との発表がありました。当時、ニュースなどでかなり話題になったので記憶している方も多いのではないでしょうか。
楽天は、楽天市場や楽天トラベル、その他様々なサービスを提供している日本でもトップクラスの企業です。そんな楽天がなぜ、社内公用語を英語にしようとしたのでしょうか。
理由は大きく分けて2つです。
- 世界レベルでのビジネス競争に勝ち続けること
- そのために、世界から優秀な人材や情報を集める必要があること
それから2年の歳月をかけ、2012年、楽天は正式に社内公用語を英語に切り替えました。そのことによって三木谷社長の想いは叶ったのでしょうか?また、苦労や失敗はなかったのでしょうか?一つずつ、みていきましょう。
楽天の英語社内公用語化の成功点①誰もがグローバル社会での戦力!
楽天では、社内のメールやコミュニケーションは全て英語で行われます。そのため、誰もが自身の業務内容についての英単語やフレーズを理解しています。すなわちそれは、誰もが通訳や翻訳を必要とせずに、世界レベルで情報を得たり、発信することができるということです。これは楽天にとって、かなり大きな武器となったと言えます。
では、そんな社員たちの英語レベルはどの位なのでしょうか。
TOEICスコアを基にご説明します。
TOEICスコアからみる楽天社員の英語力
楽天が社内公用語を英語にすると宣言した2010年10月、社員のTOEIC平均スコアは526点でした。それから4年半後の2015年4月の時点では800点、2018年には830点となっています。
また、新卒採用のページにはこのような文言があります。
これを見ればお分かりのように、新入社員たちの英語力も高いです。また、全社員分のTOEICや英語のレッスン費を会社負担で行うなどのサポートも厚く、今後も社員の英語力は上がっていくでしょう。
楽天の英語社内公用語化の成功点②世界から優秀な人材が集結!
先ほどご説明したように、社内では英語でコミュニケーションをとるので、英語を話すことができる外国籍の方も存分に力を発揮することが出来ます。楽天はそのことを世界にもアピールし、外国からも注目を浴びました。その結果、国内に留まらず世界からより技術の高い人材を集めることに成功したのです。
2018年時点で楽天の全社員の2割が外国籍の方、新規採用のエンジニアでは7割以上が外国籍の方だと言われています。これは、楽天が世界からも注目を集めているという証です。
楽天の英語社内公用語化の失敗点
社内公用語が英語化されたことによって多くのメリットがありましたが、その陰には失敗もありました。
失敗点①英語嫌いな社員の離職
社内公用語を英語にするために、会社は社員の英語力アップに手厚いサポートをしました。しかし、どうしても「英語が嫌い」な方もいるのが実情で、中には転職を選んだ方もいました。技術があるにも関わらず、「英語化」のために優秀な人材が離れてしまったことは会社にとっても痛手となりました。しかし、現在では世界レベルで優秀な人材を集めることができているので、過去の痛手は十分にカバーできています。
失敗点②業務ペースの低下
社内公用語を英語にした当初、社員の英語レベルには大きな差がありました。そのため、同じ物事を英語で伝えようとしているにも関わらず、それぞれが異なった英単語やフレーズで表現するために意思疎通に苦労しました。
そのため、楽天はそれらを改善するために、業務に必要な英単語やフレーズ集を作成しました。現在では、それを基に社員たちが共通の表現で意思疎通を図り、コミュニケーションもスムーズに行われています。
楽天の英語社内公用語化のまとめ
社内の公用語を英語化するためには、かなりの苦労があります。その分、それが成功した暁には会社に大きなメリットをもたらしてくれます。日本の人口減少やグローバル化に伴い、今後、世界を相手にビジネスする機会も増えていくでしょう。いつでも英語で即戦力になれる準備を、私たちも今から始めておいた方が良さそうですね。
今回の記事は、三木谷社長や英語化に関わった担当者たちのインタビュー記事などをもとに作成しています。より詳しくお知りになりたい方は、ぜひ以下の記事もご一読ください。
先生、大変です!僕の勤めている会社が、社内の公用語を英語にすることを検討しはじめました!