
岡田さん

ミランダ
英語を習得するためには地道なトレーニングを続けていくことが重要とは言え、長い間続けているとしんどいわよね。岡田さん、モチベーションを維持するためには、楽しいトレーニングを取り入れるのも一つの手よ。

岡田さん
楽しいトレーニングって、例えばどのようなものがありますか?

ミランダ
OK。それじゃあ今日は、「映画を見る」勉強法を教えてあげるわ!
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英語で映画を見る勉強法は効果あり?
英語を習得するために長い間英語学習を続けていると、いつもの勉強法に飽きてしまったり、モチベーションを維持できなくなってしまったり、勉強を続けていくのが嫌になることがありますよね。
英語を習得するまでの道は、長く険しい道のりです。このようにモチベーションが下がってしまった時には、思い切って楽しい要素のある勉強法を取り入れてみるのも、長く学習を続けていくコツの一つです。
しかし、どうせやるのであれば、気分転換になるだけでなく、しっかり効果も期待できるような一石二鳥の勉強をしたいですよね!
そこでおすすめなのが、映画を使った勉強法です。
多くの方にとって娯楽の一つである映画を使って英語を勉強できるのはありがたいですが、映画を使った勉強法とは一体どういうものなのでしょうか?ただ映画を流し見ているだけでも効果があるのでしょうか?
ただ映画を見るだけでも効果あり?
一時期「聞き流すだけ英会話」が話題になりましたよね。ただ英語を聞き流しているだけで英会話力がつくという夢のような学習メソッドでしたが、「効果がない」という声も多数あり、実際のところどうなのかと気になっている方もいらっしゃると思います。
結論、第二言語習得論に基づいて考えると、「聞き流すだけ」の英語学習は、英会話力の向上に効果はありません。
なぜ「聞き流すだけ」では効果がないのか?
英会話は、大きく分けてリスニングとスピーキングの2つのステップに分類されますが、第二言語習得論に基づいてそれぞれを更に細かく分解すると、以下の5つのステップに分けることができます。これら全てのステップで滞りなく処理が行われることで初めて、スムーズな英会話が成立します。
リスニング
①音声知覚:耳でキャッチした英語の音声信号を、何という単語か知覚する
②意味理解:音声知覚した単語が、文章としてどういう意味なのか理解する
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スピーキング
①概念化:頭の中で言いたいことを考える
②文章化:概念化した文章を英語の文章にする
③音声化:文章化した英語を口から発音する
英会話ができないという方は、上記5つのステップのどこか1つまたはそれ以上で躓いており、それぞれどのステップで躓いているのかによって取るべき対策は大きく変わってきます。
上記記事をご覧いただければ分かる通り、第二言語習得論に基づくと、聞き流しは5ステップのいずれのトレーニングとしても効果的な勉強法とは言えません。
つまり、映画もただ流し見ているだけでは、意味がないのです。
映画で効果的に英語学習するには?
流し見るだけでは意味がないということは分かりましたが、では一体映画を使って効果的に学習するにはどうすればいいのでしょうか?
この記事では、映画を使った効果的な勉強法をご紹介していきます。映画で英語を勉強することのメリットについても解説していくので、映画を使った勉強法に興味がある方や、英語学習に飽きてきてしまった方は、是非ご覧ください。
映画を見る勉強法のメリット
映画を使った効果的な勉強法をご紹介する前に、まずは映画で英語学習することのメリットについて少しお話しておきます。
映像が理解を助けてくれるため難易度が下がる
普段英語を聞き取ることにそんなに苦手意識がないのに、電話越しになると急に英語が聞き取りづらくなるという経験をしたことはありませんか?
目から入ってくる情報がなくなり、耳から入ってくる音だけに頼らなければならなくなった時、英語を聞き取ることの難易度は急激に上がりますよね。
普段あまり感じることはありませんが、言葉を聞き取る際、私達は自分が思っている以上に、相手の口の動きや表情、ジェスチャーといった視覚情報から、多くの情報を得ています。
映画を見る際には、映像が理解を大いに助けてくれます。そのため、多少難易度の高いものでも、全く歯が立たないということが少なくなります。
また、視覚情報ありでの聞き取りは、より実際のコミュニケーションシーンに近い状態での練習になるという点でもおすすめです。
ネイティブの生きた表現を覚えられる
ネイティブ特有の英語表現を教科書で勉強するには、限界があります。ネイティブの生きた表現は時代の流れとともにどんどん変わっていきますし、文法的・言語学的に説明できないような表現や、その人だけの特別な表現技法が存在するからです。
「ネイティブが使う生きた表現を学ぶ必要性」という話がありながらも、そのような教育が公教育現場に浸透しない理由はここにあります。
学校英語が批判されようと文法重視の授業から脱却出来ないのは、そのように教えるのが最も公平かつ効率的だということなのではないでしょうか。
それでは、「生きた英語はどう学ぶのか?」となった時に登場するのが、「英語の映画を見る」勉強法です。映画には、日常シーン、ビジネスシーンなど、ネイティブが実際に使っている表現や流行っている言葉が目白押しで登場します。
映画を使って英語学習する大きなメリットの一つは、このように生きた英語表現を学ぶことができる点です。実際にどのように使われているのかを確認しながら学ぶことで、よりインプットしやすくなります。
モチベーションを維持できる
英語学習に限ったことではありませんが、何かを習得するためのトレーニングというのは、なかなか地道で退屈なものが多いですよね。
そういったトレーニングを毎日コツコツ続けていくことが、習得までの最短コースではありますが、とは言え、長い間それだけを続けていくモチベーションを保つには、よっぽど強い精神力が必要です。
ほとんどの人は、トレーニングに飽きてしまい、毎日続けていくことにうんざりしてしまうのではないでしょうか。
長い間モチベーションを保つための方法はいくつかありますが、その内の一つが、「興味のあることや楽しいことを学習に取り入れる」という方法です。
映画を使った英語学習は、先程ご紹介した記事で解説したような勉強法に比べると、正直少し効果が劣ってしまいますが、学習を継続できなくなってしまうことを考えると、常に効果的な勉強だけを続けていくのが得策とも限りません。
映画を使った学習には、英語学習のモチベーションを維持できるというとても大きなメリットがあるのです。
英語で映画を見る勉強法①音の変化を意識して聞く
それでは、実際映画を使った勉強とは、どのようなやり方で行うのが正しいのでしょうか?ただ流し見ているだけでは意味がないことは先程お伝えした通りです。
ここからは、映画を使った正しい英語の勉強法をご紹介していきます。
まずご紹介するのが、「音の変化を意識して聞く」勉強法です。
音の変化を意識して聞くとは?
TOEICのリスニング問題で流れる英語は聞き取れるのに、実際ネイティブと話すと英語が全く聞き取れないという方はいらっしゃいませんか?
この原因として最も大きなものの一つが、ネイティブの話す英語の、音の変化の多さです。
音の変化とは、ネイティブスピーカーが自然な速度で話すときに起こる発声音の変化のことを言い、具体的には、単語同士が繋がったり(リンキング)、文末の「p,b,k,g,t,d,」の音が消えたり(リダクション)することを指します。
例えば、「stand up」をネイティブが普通に発音すると、「スタンダッ」のようになります。
もし「スタンドアップ」という発音でしか認識できていない場合、「スタンダッ」と聞こえた時、「stand up」が発音されたと認識することができません。
ネイティブが話す英語は、TOEICの音源に比べ、こういった音の変化が生じている部分が多いため、聞き取れないということが生じます。
その点、映画で話される英語は音の変化が満載であるため、音の変化を捉えられるようになるためのリスニングトレーニングにもってこいです。
聞き取りづらい部分があった際には、「この単語とこの単語が繋がっていたから聞き取れなかったんだな」と分かるまで、音の変化に注意して何度も聞いてみましょう。
音の変化に関する詳しい説明は、以下の記事をご覧ください。
シャドーイング
更に難易度は上がりますが、映画を使ってシャドーイングするのもおすすめです。
シャドーイングとは、流れてくる英語の音声を2、3語遅れてそっくりそのまま影のように復唱していくトレーニングです。詳しいやり方はこちらをご覧ください。
1点注意なのが、映画の字幕はスピーカーの発言そのままではないことが多いので、スクリプトと呼べるものがない点です。なので、スクリプトがなくてもシャドーイングできるレベルの方、もしくは簡単な映画を教材としたときのみ、試してみて下さい。
英語で映画を見る勉強法②生きた英語表現をピックアップする
英語を話そうと思ったら、自分の頭の中にある英語の知識を引っ張ってきて文章を作る必要がありますが、このように文章化するには2通りの方法があります。
①自分の知っている単語と文法を組み合わせて文章を作る
②例文暗記した文章をそのまま使う
文章化するためには、前者の単語や英文法を組み合わせる方法が基本的ですが、一部フレーズでそのまま覚えておいたほうが良いものもあります。例えばネイティブ独特の言い回しやスラングなど。これらは、自分の知識をルール通り組み合わせても、正解を導くことはできません。こういった言葉は、そのまま暗記してしまう方が効率的です。
先ほど、映画を使った英語学習のメリットでもご紹介しましたが、映画では生きた英語を学ぶことができます。是非便利な表現をピックアップして、覚えながら見てみてください。
その際意識していただきたいのが以下の3つです。
-使える表現を探すことを意識しながら見る
使える表現を探そうと思いながら見るのとそうでないのとでは、得られる知識量が随分変わってきます。何か少しでもインプットを増やそうという意識を常に持ってみてください。
-口に出して発音する
良い表現があれば、自分でも実際に口に出して発音してみて下さい。耳から音の情報としてもインプットすることで、より暗記しやすくなります。メモを取るのもいいですが、メモしてしまうとそれだけで安心して実際全く暗記できていないということが生じかねないので、その点は注意しましょう。
-何度も繰り返し同じ映画を見る
覚えたい表現を一度見ただけで全て覚えられたらこんなに良いことはありませんよね。しかし、実際それはほとんど不可能です。映画を使って勉強する際には、いろいろな映画をたくさん見るよりは、お気に入りの一つを何度も繰り返し見ることをおすすめします。
ネイティブ表現は無理して使う必要はない?
ネイティブがよく使う表現を覚えておくと、リスニングでは大いに役に立ちます。しかし、自分が英語を話す際には無理に使う必要はありません。
スピーキングにおいては、中学校で習ったレベルの英語で話せれば問題ないということは覚えておきましょう。
映画を見る時の教材選びのポイント
さて、それでは最後に、英語教材としての映画選びのポイントをご紹介して終わりにします。
映画を選ぶ際には、以下のような点に注意して選定するようにしましょう。
自分の英語レベルに合った映画
映画学習に限らず、どの英語教材を選ぶ際にも共通して重要なのが、自分のレベルに合ったものを選ぶということです。レベルが低すぎても高すぎても、学習の効果が出づらくなるからです。
映画は映像が理解を助けてくれるので、通常のリスニング教材よりはレベルの高いものに挑戦しても問題ありませんが、レベルが合っていないと感じたら、調整するようにしましょう。
自分の英語の使用シーンに合った映画
英語を学ぶ理由は、ビジネス英語を学びたい、日常英会話を学びたいなど、人それぞれですよね。
映画を選ぶ際には、自分が学びたい英語の使用シーンに合ったものを選ぶと、より効率よく、学びたい英語表現を学ぶことができます。
例えば、ビジネス英語を学びたい人が、学園ものの映画を見ても、あまり知りたい知識を得られませんよね。
ビジネス英語を学びたいのなら『SUITS』のようなビジネスシーン満載の映画を選ぶようにすることで、よりピンポイントに学習することができます。
日本の映画
映画選びのポイントとは少し逸れてしまうのですが、日本の映画を選ぶのも一つの手です。
私たちは日本人である以上、発言の出発点はかならず日本語になります。英語を話すときには、「こういうことを話そう」と日本語で考えたものを、英語に訳すプロセスを踏みます。
邦画の英語版のセリフは、当然元々日本語のものを英語に変換しています。このように出発点が日本語である英語表現の方が、自分の話したい表現をどう英語で言いまわすのかを学ぶ際に参考になります。
また、言うまでもないですが、自分が元から知っている映画の方が、圧倒的に英語が聞き取りやすいです。特に映画での英語学習に歯が立たないという方は、是非邦画を使ってみてください。
映画を見る英語勉強法まとめ
この記事では、映画を使った英語学習法についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
時にはこのような英語学習も取り入れながら、楽しく英語学習を続けていくことも、英語習得までの長い道のりの中では大切ですよ!
ミランダさん、最近毎日同じ英語学習を続けていくのがしんどくなってきました、、。