
岡田さん

ミランダ
もちろん知っているわよ!多読学習は英語のリスニング力アップにとても効果的なトレーニングよ。

岡田さん
え!読むトレーニングなのに、リスニングに効果があるんですか?それは面白いですね。
ミランダさん、多読トレーニングについて詳しく教えてもらえませんか?

ミランダ
ええ、いいわよ!正しい多読のやり方や、教材の選び方をしっかり身につけて、リスニング力をアップさせましょう!
英語の多読はリスニング力アップに効果的?
みなさんは「多読」という勉強のやり方を聞いたことがありますか?
多読は、文字通り英語をたくさん読む勉強法ですが、ただ大量の英語を読めば良いというわけでもありません。
また、多読と言うと、リーディング力強化のためのトレーニングだと思う方が多いかと思いますが、実は多読は、リスニング力の向上に効果的なトレーニングです。
このように、多読はやり方や効果を誤解されやすいのですが、それらを誤解したままトレーニングしていては、せっかく時間をかけて学習してもなかなか効果が出ないという事態に陥ってしまう可能性が大です。
この記事では、なぜ多読がリスニング力の向上に効果的なのかや、多読の正しいやり方、おすすめの教材について解説していきます。
多読に初チャレンジする方も、多読をしたことがあるけれども正しいやり方が分からずあまり効果が出なかったという方も、みなさま是非ご覧ください!
英語の多読がリスニング力アップに効果的な理由
冒頭でも少しお話ししましたが、多読はリスニング力アップに効果的なトレーニングです。
では、なぜ「多読」という「リーディング」の学習が「リスニング力」を上げるのに効果的なのでしょうか?
その理由を理解していただくために、まずは英会話をする際、どのような順序で脳が英語を処理しているのかについてご説明していきます。
英会話の構造
英会話は、大きく分けてリスニングとスピーキングの2ステップに分類されますが、応用言語学に基づいてそれぞれをさらに細かく分解すると、以下の5つのステップに分けることができます。
リスニング
①音声知覚:耳でキャッチした英語の音を自分の知っている言葉に結びつける
②意味理解:音声知覚した音がどういう意味なのかを理解する
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スピーキング
①概念化:頭の中で言いたいことを考える
②文章化:概念化した文章を英語の文章にする
③音声化:文章化した英語を口から発音する
上記の通り、リスニングには、音声知覚と意味理解の2つのステップがあります。
2つのステップで正しい処理が行われて初めて、英語を聞き取り、意味を理解することができます。そのため、音声知覚と意味理解の両方の力を鍛えることが、英語のリスニング力アップのためには必要です。
そして、2つのステップのうち意味理解の力を伸ばすのに効果的なトレーニングが多読なんです。
意味理解とは?
多読は上記のリスニングの2つのステップのうち、「意味理解」の力を強化するのに効果的です。
ここでいう意味理解とは、音声知覚のステップで聞き取った音の情報の意味を、意味を持った言葉として捉えていく処理のことを言います。
例えば「ワラバウユー?(What about you?)」という音が聞こえた時に、音声知覚のステップでは、「ワラバウユー?」とは「What about you?」なのだという処理が、頭の中で行われます。
しかし、この段階ではまだ音が分かるだけで、言葉の意味は分かっていません。
ここからさらに、「What about you?」という言葉がどんな意味を指すのかを理解するのが、意味理解のステップになります。
脳内に蓄えられた知識のデータベースから単語や文法の知識を引っ張り出し、
What = 何 / about = 〜について / you = あなた / 語尾が上がっているから疑問文である ➡︎ 「What about you?」は「あなたはどう?」という意味だ
というようなプロセスが瞬間的に頭の中で行われ、「What about you?」の指す意味を理解できます。
これが意味理解です。
この「音声知覚」と「意味理解」の2つのステップを経て、脳は英語を聞き取ることができます。
なぜ多読が意味理解の強化に効果的なのか?
では、なぜ英語をたくさん読むことが意味理解の強化に効果的なのでしょうか?
リスニングの意味理解に課題のある方の多くは、英語と日本語の語順の違いにその原因があります。
日本語と英語では語順や文法規則が大きく異なるため、日本語話者にとって、英語を英語の語順で理解するのは簡単ではありません。
そのため、受験の際の長文読解などでは、日本語の語順に合わせて英語を後ろから訳すように指導をされることもあります。
しかし、リスニングの際には後ろから前に戻ることや、聞き返しができないため、聞こえたものを聞こえたまま理解する必要があります。
例えば、「the person who is playing the piano」を、「ピアノを弾いている人」というように、関係代名詞の修飾句から訳してしまう方は多いのではないでしょうか?
しかし、英語をリスニングする時は、左から右に「the person who is playing the piano」という語順でしか流れません。
そのため、普段後ろから訳して意味を考える癖がついていると、リスニング時に意味理解するのがとても難しくなってしまうんです。
意味理解をスムーズに行うためには、英語を英語の語順のまま理解する「英語脳」になることが重要です。
多読は、返り読みをせず、前から前から英語を訳していくというルールを守って行うことで、英語を英語の語順のまま理解する力を鍛えることができるため、意味理解力を向上させることができます。
一つの目安として、英語を100万語多読すると英語脳になることができると言われているので、100万語を目指して日々コツコツとトレーニングしていきましょう!
多読の具体的なやり方については次の章で詳しくご紹介します。
英語の多読の正しいやり方
ではここからは、意味理解を鍛える多読の正しいやり方を、詳しくご紹介していきます。
多読のやり方
教材選択・目標確認
まずは、何の本を読むのかを決めます。
教材選定のやり方やコツについては後ほどおすすめの教材と一緒にご紹介していきますが、教材を決定したら目標の読了時間を確認しましょう。
目標の時間は、自分がリスニングにおいて意味理解を行いたい速度のWPM(1分間あたりに話されている単語数)と、書籍に使われている総語数を使って割り出すことができます。
例えば本の総語数が15,000語で、自身の目標WPMが150の場合、「語数÷目標のWPM」が100となるので、100分でこの本を読み切ることを目指すようにします。
ちなみに、WPMの目安としては、英語ネイティブによるプレゼンテーションはWPM150〜190、日常会話はWPM200以上の速度で話されます。
実際に読む
目標タイムが分かったら、どんどん読み進めていきましょう。
読み進める際には以下2つのルールを必ず守ってください。
・返り読みをしない
・分からない単語は調べるのではなく周りの文脈から推測する
「返り読みをしない」というのは、後ろからさかのぼって英語を訳すのではなく、英語の語順通りに読みながら意味を掴んでいくということです。先ほど述べたように、英語を英語の語順で理解できるようにすることが多読の目的です。
特に関係代名詞など後ろから修飾をするものは返り読みをしやすいので、常に目線の動きを左から右に一定方向に進めるようにして読みましょう。
「分からない単語は調べるのではなく周りの文脈から推測する」というのも、リスニングの状況に合わせるためです。
実際のリスニングの場面においては、分からない単語が聞こえた時に、意味を調べている時間はありません。ですから、話している話題の情報や、それまでの文脈によって推測する力も、多読によって身につけていきます。
ただし、本文の中であまりにも頻繁に登場する単語で、それが分からないことによってストーリー把握が困難になるようでしたら、その単語だけ調べるのはOKです。
振り返り
最後まで読み終わったら、そこまでにかかった時間を確認しましょう。
一回のトレーニングですべてを読み切る必要はないので、毎回読む際にそれぞれ時間を測り、最終的に読み終わるまでにかかった時間を合計してください。
目標のWPMに達していなかった場合は、次の本を読むときにもう少しスピード感を持って読むように心がけましょう。
ただし、スピードよりも意味理解が重要なので、スピードを意識するあまり理解度が下がってしまわないように、注意してください。
また、ノートやエクセルを使って、「本のタイトル」「総語数」「目標WPM」「目標読了時間」「実際読了時間」「読了総語数累計」をメモしておくと、自分がどれだけ英語を読んでいるかの記録になるので、100万語までの道のりがあとどれくらいかを可視化することができます。
合わせて、「理解度がどれくらいだったか」「本のジャンル」などを書いておくと、読了時間と合わせて振り返った際に、自分の苦手なタイプの本を分析することができます。苦手なジャンルが多かった場合、単語力に偏りがある場合もあるので、単語学習などに生かしていきましょう。
英語中〜上級者の方は英語で要約や感想を書いてみると、さらに力になります。
英語の多読に効果的なおすすめ教材
最後に、多読を行う際のおすすめの教材をご紹介します。
おすすめの多読教材
ラダーシリーズ
ラダーシリーズは、IBCパブリッシング株式会社から出版されている、多読・速読向け教材です。
レベル1〜5まで分かれており、レベル別に使用されている語彙が異なるので、自分のレベルにぴったりの本を選びやすいのが特徴です。
比較的易しい英語で書かれているので、初心者の方でも取り組みやすい教材です。
物語や伝記、日本語の作品を英訳したものなど、幅広いジャンルの本があるのもおすすめポイントです。
また、巻末にワードリストが付属しているため、どうしても分からない単語があった時、辞書なしで学習を完結することができます。
グレイディッド・リーダー
グレイディッド・リーダーは、オックスフォード大学出版局から出版されている多読・精読向け教材です。
こちらも英語学習者を対象として易しい文法・語彙で書かれた、レベル別の読み物です。
ラダーシリーズよりもレベルの幅は広く、レベル0から6までと、細かくレベルを設定されています。
教科書といった雰囲気はなく装丁もとてもお洒落なので、英語の本を読んでいるという雰囲気を味わうことができ、英語を楽しく学んでいきたいという人にもおすすめです。
本のジャンルも多岐に渡るので、自分が読みたい、楽しく読めるという本がきっと見つけられるのではないでしょうか。
多読教材を選ぶ際のポイント
多読の教材を選ぶ際にまず確認したいのは、総語数の記載があるかどうかです。WPMなどを確認する上で使用する教材の総語数が必要になるため、記載のある教材を選ぶようにしましょう。
また、上記で紹介したようなシリーズから教材を選んでいく際に、気をつけた方がいいポイントが2つあります。
①興味が持てるテーマを選ぶ
多読は、とにかく量をたくさん読むことが肝心のトレーニングです。
その為、興味が持てない本を選んでしまうと、飽きてしまったり、途中で挫折してしまったりすることになります。そうならないよう、自分が面白いと感じることのできるテーマの本を選びましょう。
また、初心者の方であれば、一度日本語で読んだことのある本や、映画などでストーリーをあらかじめ把握している本から始めるのもおすすめです。
慣れてきてからは、幅広いジャンルの文章に触れるために、普段あまり手に取らないジャンルにも挑戦してみるのが良いでしょう。
②難しすぎないものを選ぶ
多読の教材選定において、自分のレベルにあった本を選ぶことは大変重要です。
あまりにも知らない単語が多い本だと、単語を調べずに最後まで読み切ることが難しくなってしまいます。
また、背伸びをして難しすぎる本を選んでしまうと、多読の効果が十分に発揮されなかったり、モチベーションの低下にも繋がってしまいます。
知らない単語が1ページに2〜3語程度のものを選ぶようにしましょう。
絵本の多読に効果はある?
先程、多読の教材選定においては難しくないものを選ぶようにというお話をしました。
では、初心者の方の場合、登場語彙が易しく語数も少ない英語の絵本などから始めたほうが良いのでしょうか?
実際、多読を始める際にはまず絵本から入って、徐々にレベルを上げていくやり方が良いと推奨している書籍もあります。
しかしそのやり方は、特に大人になってから英語学習を始める方にはあまりおすすめできません。
なぜなら、大量の英語をインプットすることが肝心である多読トレーニングにおいて、文章量の少ない絵本を読むのはあまりにも効率が悪いからです。また、絵本では、絵と単語だけが書かれていることも多く、そうなると文法規則や語法などのインプットが図れないという欠点があります。
初歩的な単語や文法の知識があれば初心者の方でもある程度の英文は読解できるので、絵本ではなく1,000語前後の短い本などから始めるのが良いでしょう。
英語の多読でリスニング力を鍛えよう!
この記事では、多読学習の効果や正しいやり方、おすすめ教材などをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?リーディングによってリスニング力が鍛えられるというのは意外だったという方も多いのではないでしょうか?
是非今回ご紹介した多読のトレーニングで、リスニング力をアップさせてください!
ただ、この記事によって多読のやり方は分かったという方も、そもそも自分に必要なトレーニングが多読なのかどうかを判断するのはなかなか難しいですよね。また、自分の現在のレベルに合わせた最適な教材を選定するというのも、簡単ではありません。
そこでおすすめなのが、英語における自分の課題や適切な英語学習方法について、まず英語学習のプロに相談してみるということです。
英語ができない原因がどこにあるのか、何が課題になっているのか、プロ目線で科学的根拠に基づいたアドバイスを受けた上で学習を進めていくことで、目標まで最短距離で学習を進めていくことができます。
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ミランダさん、多読という英語学習方法をご存知ですか?